宅地建物取引業(宅建業)の免許を持たずに営業を行うことは、宅地建物取引業法(宅建業法)違反であり、重大なコンプライアンス違反です(宅建業法第12条)。
発覚すれば、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(または併科)といった刑事罰の対象となるだけでなく、顧客との契約自体が無効とされる可能性もあります。
名義貸しとは、免許を持つ宅地建物取引業者(宅建業者)が、他人に自社の名義を使わせて宅建業を営ませる行為です。
これは、無免許営業を助長する重大な違反であり、宅建業法で明確に禁止されています(宅建業法第13条)。
たとえば以下のようなケースは、名義貸しに該当する可能性があります。
- 実態のない「支店」や「代理店」を装わせるために営業所や名刺を貸す
- 関与していない取引に自社名義で契約書を作成させる
- 報酬の一部を受け取る代わりに免許番号や社名を使用させる
名義貸しが発覚すれば、業務停止や免許取消といった行政処分に加え、刑事罰の対象となることもあります。
実際に名義貸しが問題となった判例については、以下のコラムで紹介しています。
宅建業者だけでなく、宅地建物取引士(取引士)による名義貸しも違反行為です。
実際には勤務していない会社に専任の取引士として登録する行為は、宅建業法に反し、指示処分や事務禁止処分の対象となります。
取引士の名義は「信頼の証」です。
その資格を安易に貸し出すことは、業務の適正性を損ない、顧客の信頼を裏切る行為にほかなりません。
こうした行為は、コンプライアンス意識の欠如が引き起こす深刻なリスクです。
宅建業の免許制度は、事業者の適格性と業務の適正性を担保する仕組みであり、無免許営業や名義貸しはその根幹を揺るがす重大な違反行為です。
無免許営業や名義貸しは、顧客との契約リスクだけでなく、業者自身の存続を脅かす重大な違反です。
制度の趣旨とコンプライアンスの本質を正しく理解し、日々の業務に活かすことが、宅建業者としての責任であり、信頼の第一歩です。

